足の代表的なトラブル
スポーツだけでなく、日常生活にも大きな支障をきたしてしまう足のトラブル。
足のトラブルを抱えている人にとっては悩みの種となっています。
その足のトラブルを改善するためには状態や原因を知ることも重要です。
ここでは足を足部と脚部に分けて、代表的なトラブルについて記載してます。
足部の変形・トラブル
足部とはくるぶしより下部の足に関する部位のことです。
まずは、足部で引き起こるトラブルの代表例です。
ここではあくまでも、一般論として記載しています。原因や対処法が記されている場合も一般的な解決方法として記載しております。
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外反母趾
外反母趾とは母趾角度異常(右図参照)の状態のことです。
親指の角度が増す程、症状の度合いも増します。
後述する開張足から発展するケースがほとんどで、バランスが取りづらく、歩行時の足裏の接地ラインが変則し、土踏まずの機能を引き出しにくい。(通常:かかと⇒外側縦アーチ⇒拇指球⇒トゥオフ(足の指) 外反母趾:かかと⇒内側縦アーチ⇒拇指球)
横幅の狭い靴を履くと拇指球が靴にぶつかり痛みが発生するケースが多い。
性別や遺伝・靴の影響もあるようですが、踵骨が外反(内側に入り込む)し、内側縦アーチが崩れることで、拇指球へ大きな負担が原因で起こすケースがあります。
簡単に言うと、足裏アーチ(土踏まず)の扁平化で誘発されるケースが多く、浮き指の状態でしっかりと土踏まずを使う習慣が無く、土踏まずの筋力低下が起きている人に発症しやすい。
足も横幅が拡がり(開張足)、いままで履けていた靴も合わなくなる。
酷くなると縦方向にも伸び、足が全体的に大きくなってしまう。(正常アーチ⇒扁平足)
内反小趾
外反母趾とは逆の小指球側に広がり、小指が親指側に曲がる症状です。
こちらも外反母趾と同様に開張足から発展する。
遺伝や靴の影響もあるようですが、踵骨が内反し、足関節が外側に倒れやすい方に多いです。
重心移動の際、過回外運動が繰り返し起こることで小指球に負担が出やすい。
小指の付け根付近にタコが出来はじめたら内反小趾になりつつある可能性が高い。
外反母趾ほど目立たないので気が付かない人が多く、また予備軍も多いといわれている。
外反母趾と併発している例も多く見受けられる。
こちらも、外反母趾と同様に足サイズが大きくなるケースがある。
マメ・タコ・魚の目
足に合わない(オーバーサイズや、ヒールカップの大きさ、つま先の形状が合わないなど)靴を履いたり、足の骨格の崩れによって足圧バランスが乱れ、偏った箇所に圧が集中することでできやすい。
摩擦で出来るケースなどもある。
タコは表面上に出来ることが多くそれ程痛みは発生しませんが、魚の目は皮膚の内部に向かって芯ができるので、痛みを伴いやすい。(タコも酷くなると内部に侵食している場合もあり、そのときは痛みが発生する可能性がある)
足に指を使わずに行動している場合も出来やすい。(特に横アーチの中心点付近)
タコを削ることで対処している人が多く、それは間違った対処法ではないが、原因や根本の対処にはなっておらず、同じところに何度も出来てしまう可能性が高い。
タコや魚の目の出来ている場所に負担がかからないよう、正しい歩き方に改善する(浮き指改善)など、その人に合わせた対処法を施す必要がある。
扁平足(へんぺいそく)
多くの場合、踵骨が外反(後方からみてハの字に傾斜)します。(後述するオーバープロネーションの状態)
土踏まず(縦アーチ)部分が低下した踵骨外反扁平足が一般的です。
主な症状としては膝、足首部分などの関節痛、筋肉痛、腰痛、歩きにくく、疲れやすくなる傾向などがあります。
原因は成長段階で様々ですが、一般的には、以下の状況が考えられます。
小児期の扁平足…筋力が未発達のために発症します。しかし成長するにつれて治る場合が多い。
思春期の扁平足…スポーツや長時間の歩行によって発症します。
成人期の扁平足…体重の増加(妊娠も含まれる)や加齢による足の筋力(特に土踏まずを形成する筋力)の低下により発症します。
凹足(ハイアーチ)
扁平足とは反対に縦アーチ(土踏まず)が高すぎて、中足部が地面についていない状態を言います。足の湾曲が激しいと、足が本来持つ能力である振動吸収や力の分散がうまくできなくなります。
主な症状は足裏の設置面積が少ないため、前足部や踵部に角質が見られます。
足裏アーチのドーム状の支点が高くなるため、足の接地面が点に近くなり、前足部や踵に高い圧がかかり痛みが出やすくなります。
足底腱膜炎や踵骨棘を生じやすくなります。
もし5~6歳くらいでこの前兆が見え始めたら、発育とともに筋肉の均整がとれなくなって進行して病的なものになっていきます。関節の柔らかい早期に気付くことができれば矯正が必要となります。
足底筋の緊張によることが多くの原因となりますが、原因の中には遺伝によるケースもあったり、ハイヒールの常用などによる足底筋やアキレス腱等の過度の緊張も原因の一つです。
また、麻痺によるものもあります。
足底腱膜炎(足底筋膜炎)
内側縦アーチの動きと密接に関わりのある足底腱膜(筋膜)の炎症です。
足の骨格バランスが崩れている状態での過度な運動時などに起こりやすい。
多くの場合かかとの前付近が痛くなります。
長距離のウォーキングやマラソンなど過度の運動が原因であるが、扁平足やハイアーチなどのアーチの異常や足の骨格バランスが崩れている状態により、引き起こされる可能性もあります。
長い時間立って仕事をしている方にも発症するケースもあります。
症状としては、朝起きて数歩がとても痛いが、そのうち痛みが和らぐ、急に歩き出すと痛くなる、など比較的わかりやすい症状です。
時間とともに自然治癒する場合が場合が多いが、その程度は個人差によります。(1ヵ月~3年)
予防には足裏のクッション性を引き出すことがあげられます。
過回内(オーバープロネーション)
着地から重心移動する際に過剰に回内しやすい(オーバープロネーション:下図①)。
重心移動が、踵着地→《過回内》→《内側縦アーチに沿って移動》→拇指球→トゥオフ
拇指球に負担が出やすい。前足部では圧による痛みや摩擦によるトラブルが多い。
内側縦アーチが崩れることで、シンスプリント、足底腱膜炎にも繋がりやすい。
距骨下関節が過回内(オーバープロネーション)することで腓骨も内転しやすく膝関節の動きにも影響が出やすい。
この状態で生活を繰り返していくことで、体に起こるトラブルは多い。
靴の内側が減る傾向があり、靴の後部も内側に倒れこんでいるケースが見受けられます。
過回外(オーバースピネーション)
着地から重心移動する際に過剰に回外する(オーバースピネーション:上図③)。
重心移動が、踵着地→《回外》→外側縦アーチに沿って移動》→小指球→トゥオフ
小指球に負担が出やすい。通常立位では、骨盤が後傾になりやすい。
距骨下関節が過回外(オーバースピネーション)することで脛骨が外転しやすく膝関節の動きにも影響が出やすい。(=O脚の傾向)
足が内反している方の多くは股関節の違和感や臀部・背面のハリを感じている方が多い。
靴は外側が減り、後部が外側に倒れこむことがあります。
モートン病
神経が圧迫されて、前足部裏に痛みや痺れなどがでる。
特に足の中指と薬指の付け根付近に痛みと痺れが起きやすい。
足の踏み出し時に痛みを感じ、特に女性に発症するケースが多い。
先の細い靴やハイヒールやパンプスなどのように前足部を圧迫し負担をかけるような靴を履いているとモートン病になる可能性が高まる。
特に後述する開張足の場合、神経が圧迫されやす。
開張足(かいちょうそく)
横アーチが崩れている状態。拇指球と小指球の幅が拡がっているような状態。
横アーチを構成する筋力の低下が原因である。
土踏まずの機能を使わないような歩き方(浮き指など)をしていると、土踏まずの筋力が衰えてしまう。
踵骨棘(しょうこつきょく)
内側縦アーチの運動に関係している足底腱膜が過度に引っ張られる状態が続くことで起こしやすいと言われています。
足底腱膜の踵骨との付け根が硬化して棘のような形状を持つ。
踵が地面に接地した時に痛みがでる。
棘が神経に当たり痛くなると思われることもありますが、実は、棘が痛みの原因ではなく、足底腱膜(筋膜)の炎症で痛みが出ている。
手術で対処する場合もありますが、自然治癒が一般的(3ヵ月~3年程)。
有痛性外脛骨
外頸骨とは舟状骨の内側にある副骨で、その外頸骨が突出した状態です。
成長期にスポーツをするなど活発に活動している子供に発生しやすく、特に扁平足、過回内の状態の子供に多くみられ、痛みも伴います。
大人でもなる場合があります。(特に女性)
治療には休養・安静や足のストレッチ、足底板(インソール)などが挙げられます。
ハンマートゥ
足の指が曲がり、伸びなくなってしまった状態です。
足の指の向きや、足の指が長い人に発症するケースが多い症状です。
ハンマーのような形からハンマートゥと呼ばれています。
足に合わない靴を履いていると発症することがあり、そのまま履き続けているとさらに悪化します。
そのほかにリュウマチや糖尿病なども原因の一つとなります。
足の指が浮いている状態なので安定して立つ事が難しく、また歩行時の足の指を使わないケースが多く、土踏まずの機能をしっかりと引き出せず、他の足のトラブルが発生しやすく、疲れやすい。
脚部の変形・トラブル
脚部とはくるぶしより上部から股関節までを指します。
脚部のトラブルの代表例です。
ここでも一般論として記載しています。
変形性膝関節症
膝関節の軟骨が少しずつすり減り、歩行時に膝の痛みが出現する病気。
女性がなる割合が高く、高齢者の発症率が高い。
膝に水がたまることも多い。
老化によることが多いですが、骨折や、半月板損傷などの後遺症として発症するケースもあります。
治療にはヒアルロン酸の注射などが上げられますが、酷いときは手術で治療します。
予防としては、膝に負担をかけない正しい歩行、膝を極度に冷やさない、肥満であれば減量するという方法などが一般的です。
O脚(内反膝)・X脚(外反膝)
足部アライメントが崩れると脚部アライメントが崩れる場合があります。
O脚もX脚も歩行時や走行時に膝部に負担をかけているので、膝への痛みが発生することが多い。
足部のアライメントの崩れは足裏のバランスの崩れが原因となることが多いので、その足裏のバランスを補正することが解決への第一歩となり得ます。
但し、片側だけの変形は病的な要因が考えられるため、しっかりとした診療が必要です。
半月板損傷
半月板とは膝関節の大腿骨と脛骨の間にあるC型をした板状の軟骨のことである。
内側・外側にあり、関節を滑らかに動かすためのクッションとスタビライザーの役割を果たしています。
これが損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりを感じ、断裂した半月板が挟まると「ロッキング」という現象が生じ、膝が曲げ伸ばしができなくこともあります。
スポーツでの外傷で起こることが多いですが、中高齢者では日常生活の動きの中でも損傷することがあります。
シンスプリント
「シンスプリント」は古典的な病名。幅広い解釈があって内容が一定ではありません。
過労性(脛骨)骨膜炎、過労性脛部痛、脛骨内側症候群などとも呼ばれています。
激しい痛みではなく鈍痛となることが特徴です。
原因は様々であるがランニングフォーム、足に合わない靴やクッション性のない靴、硬いアスファルトやコンクリートでの走り込みやトレーニング、筋肉の酷使、筋力不足、柔軟性不足、扁平足、過回内などが上げられます。
予防策としては、筋肉のストレッチを行って柔軟性を高めたりすることが大切です。
また、シンスプリントは土踏まずの部分が下がってきていることも原因の一つです。
オスグッド病
膝蓋骨の少し下方の盛り上がったところ(脛骨結節)に痛みと腫れが生じます。
膝の伸展動作は、大腿四頭筋が収縮して、脛骨結節が引っ張られて起こります。
この部分は成長期ではまだ軟骨の部分が多くて弱いため、繰り返し引っ張られることで骨や軟骨の一部が剥がれます。
骨の柔らかい成長期に起こりやすい症状であり、成長期が終わると骨も硬くなり、治癒することが大半です。
応急処置としてはアイシングが効果的といわれています。
ジャンパー膝(別名:膝蓋腱炎)
ジャンパー膝とは名前が示すごとく、バレーボールやバスケットボールなどでジャンプや着地動作を頻繁に行ったり、サッカーのキック動作やダッシュなどの走る動作を繰り返したりするスポーツに多くみられます。
オーバーユースに起因する膝のスポーツ障害です。
脚長差
脚長差とは左右の足の長さの差のことです。
脚長差が現れるのは足部、脚部、骨盤の歪みが多くの原因となります。
しかし、そのほとんどが、「見かけ上の脚長差」です。
脚長差には骨自体の長さが違う真の脚長差と、アーチの低下、筋のアンバランス、麻痺などによって生ずる見かけの脚長差があります。
主な症状としては長い方に脚に痛みが発生するケースが多く、さらに腰や肩、膝、股関節にも痛みが発生することもあります。
歩くときに肩が左右に揺れる場合もあります。
脚長差が引き起こる起因は骨折や脱臼などの負傷によって生じるケースや、日常の姿勢や歩くときの癖によって、徐々に脚の骨格や筋肉が縮んで骨盤が傾斜する変形性股関節症など、何らかの病気によって生じます。
体の歪みは足底圧に現れる
体が歪んでいる人は足裏から地面に対してかかる圧力が乱れています。
それゆえ、その足裏の圧力を測定することで、体の歪み分析が可能となります。
ここでは、足圧測定の参考事例を元に体の状態を分析しています。
足圧測定から分析できる身体の状態
事例1
前足部足圧過多
前足部中央に圧が集中=基本的な三点支持ポイントではない前足部中央に圧が集中し、マメや魚の目など、角質のトラブルが出やすい(開張足など)。体の姿勢が反り腰状態(骨盤が前傾)になりやすく、背面に負担が大きい。=腰痛などにつながりやすい。横アーチの崩壊が強いので、前足部の幅が広くなる。(拇指球、小指球関節が靴に当たりやすくなる)
事例2
後足部圧力過多
踵に圧が集中=骨盤が後傾しやすくなることで、姿勢が乱れる(猫背になりやすい…肩こり、首こりなどにもつながりやすい)。また、図のように、後傾でありながら、前足部の圧分散が拇指球よりも小指球のほうに強い方は、足関節が外側に倒れやすいことで脚も外転しやすく、外側面の筋肉に負担が出やすい。=脛骨が外転するケースでO脚にもなりやすい。
過剰に足首が回外すると小指球に負担が出る、よって内反小指になりやすい。
踵骨の接地部のみで圧を受けている場合はハイアーチの方が多い。
事例3
左右荷重バランスの乱れ
右足首が過回内(外反)していて(=右足が安定しにくい)体が左に傾いて(頼って)しまっている。または、過剰に左足関節が回外(内反)していて体をひきつけやすい状態=右足の拇指球関節の負担大きい。
右膝は内側に入りやすくなるため膝関節の負担も大きい。
左足の小指球関節に負担が大きい。
右足は過回内に運動しやすく、左足は過剰に回外しやすい。
左足股関節・臀部・背面へ過重しやすい。
事例4
前後・左右バランスの乱れ
パターン3と同様に左脚外側への負担は大きい。右足は、過剰に拇指球へ荷重しているため、運動時も負荷が大きく外反母趾や、アーチの崩れも考えられるため足底腱膜への負担も大きい。足関節、距骨下関節の捻じれ(ブレ)が大きいため、膝関節(特に内側)へも影響がでやすい。
左足の中足部(第五中足部)周辺の圧の乗り方が、ある程度均一に出ているため、内側縦アーチの地面の接触はなくても、全体的に足裏のアーチは崩れていることが考えられる。=足裏の運動機能(バネ)が機能しにくい状態。
足部の骨格について
人種による骨格の違い。
東洋人と西洋人の足を比較すると、アーチの位置や足首の位置が違っているのが分かります。
西洋人と比べて東洋人のアーチの位置は後ろ側にあり、アーチのハイエストポイントも後ろ側にある傾向があります。
東洋人の踵骨は小さく、中足骨は長いとされ、足首の後ろ側のクビレは比較的小さい傾向があります。
(すべての人に当てはまっているわけではありません)
骨格の違いはインソール形状にも影響します。
人種による骨格の違いがあるため、ヨーロッパやアメリカから輸入したインソールはそのままでは合わない可能性があります。
もちろん靴形状も合っていない可能性もあります。
もし、これから靴やインソールを検討される場合は、これらを考慮することをおすすめします。
安心して使用できるインソールは?
日本(東洋)で開発された日本人(東洋人)専用のインソールを選ぶということが大前提となるのはお分かりいただけるでしょう。
さらに、体の歪みが発生すると、前述のような足のトラブルを引き起こしてしまうことも理解できたと思います。
体の歪みが出てしまうと、整体などで歪んだ部位を調整することで改善するケースが多いかもしれません。
その整体に行くというのも1つの方法です。
体の歪みを放っておくと、ここで記載されているような足のトラブルが発生してしまうことに繋がりますので、それは決して悪いことではなく、状況によってはやらなくてはいけません。
しかし、しばらくすると元に戻ってしまうことも多いと思いますので、整体の場合は定期的に通われることをおすすめいたします。
そして、もう1つの方法として体の歪みが足底圧に現れるという特性を利用する方法があります。
それはバランス補正タイプのインソールを使用することです。
これは逆転の発想になりますが、バランス補正タイプのインソールには、直接歪んでいる部位に手を加えるのではなく、人の土台となる足元から乱れたバランスを整え、歪みを補正する効果があります。
さらに、インソールは持続性、継続性が高いという大きなメリットがあります。
バランス補正インソールは体の歪みが足底圧に現れる特性を効果的に利用した、簡単で効果の高いおすすめの方法です。